親父の夢

 この時期になると親父の夢を良く見る。時期的に当然と言えば当然なのだろう。

 向田邦子と同じ「邦」の文字を名にを持つ親父は何の因果か女史と同じ24年前の夏にこの世を去った。

片や航空機の中で、一方は自動車の中での出来事だった。

 最近、親父が出てきた夢の中で非常にインパクトが強かったのは2、3日前に見たものだった。

母親と親父と自分の3人がいる。(なぜ妹がいなかったのかは不明だが...)

突然、部屋の空気がゴッゴゴッというBASS音と共に震えだした。

地震だ!揺れは徐々に大きくなり縦揺れから横揺れに変化してピークに達した。

部屋が左に傾いた時に揺れはおさまった。

だが傾いた部屋はそのままだった。

3人は同じ方向へすべりながら寄り添っていた。

「アカン崩れる」と思った瞬間

傾いた部屋が傾いた方向へ落ちて行った。

母親が自分にしがみつく。

だが自分は、なぜか親父のことばかり

気にしていた。そして、すべりながら

崩壊した壁から放り出されそうになっている

親父の足首を右手で掴んだ時に覚醒した。

寝覚めの悪い嫌な夢だったのに鮮明に記憶に残っている。

その夜、実家の母親へ電話したが

いつもと変わらぬ様相で

少しほっとした。

霊体としての親父は最近、見かけていないが

そのうち、現れることだろう。

今年、自分は親父と同じ歳に達する。

父の詫び状 (文春文庫)

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向田邦子の遺言 (文春文庫)

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阿修羅のごとく (文春文庫)

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